Making Use

Making Use: Scenario-Based Design of Human-Computer Interactions

Making Use: Scenario-Based Design of Human-Computer Interactions

を、移動時間にぱらぱらチェックしてみた。

基本的にHuman-computer interaction (HCI)の本なのでUI中心の内容であるけれど、シナリオ技術の様々な側面を取り上げており、シナリオ技術がソフトウェア開発全般に適用できる技術であることが感じられる。
後半では、ユースケースを始めとするシステム開発系のシナリオ技術との関係も取り上げられている。UI設計とユースケースはシナリオ技術という点では共通の土台を持つ技術であり相性は良いはずなのだけれど、育ちが異なるためうまく連携できていたとは言いがたい。この2つの技術を組み合わせて総合的な技術体系に仕上げるのは今後の課題となるだろうけれど、本書はその重要なヒントを提供してくれる。

ぱらぱらチェックの範囲でよく分からないのが、Taskという用語に多義性(粒度の違い)を感じる点である。用語集もなく明確な定義がよく分からない。こういった開発方法論の本では、用語集と理想的には成果物やモデルに対するメタ・モデル構造がクラス図で示してあるとうれしい。自戒をこめてですが。

本書で重要と思われる概念にClaimがある。Scenarioを構成するファンクション的モデル要素(これをTaskと呼んでいるとUsage-Centered Designと連続性を持つので話が早いのだけれど、そうではないような気もするので判断を保留)に対してClaimという要求モデルを割り当てるのであるけれど、これはなかなか有効な技法ではないかと思う。

About Face 2.0: The Essentials of Interaction Design』のpersonaなどと同様に、ユースケース技術に取り入れて、技術体系を再構築すると面白いのではないかと考えている。